早稲田大学アジア太平洋研究科岩村研究室サイバービジネス研究会主宰の
ABC Magazineに発表されたレポートの抜粋です。

 

2004年5月24日号
■中国の新エネルギー導入の状況
 2003年夏から、私が暮らす杭州市では計画的な停電が行われ、生活に多少の影響が出ている。杭州市の経済開発区では、自家発電設備を導入し、停電や供給制限に備えている工場も多い。
 こうしたトピックから、中国のエネルギー問題がいよいよ顕在化して来たと捉えてもよいが、むしろ、このエネルギー問題は、今後長期的、世界的に生じるであろう大問題の第一幕と言えるかもしれない。
 本稿では、中国のエネルギー消費構造と、その変化、現在生じている問題点について整理し、ここ数年注目を集めている新エネルギー(再生可能エネルギー)の導入状況について、各地の事例等を報告していく。                     More

2004年3月8日号
ベンチャーキャピタル投資ブームの再来に見る中国インターネット業界の復活
【中国】(ベンチャーキャピタル)
ベンチャーキャピタル投資ブームの再来に見る中国インターネット業界の復活  2003年の下半期から、中国のインターネット企業が海外のベンチャーキャピタルの出資を受けるニュースが続々と発表された。2001年のインターネットの真冬を境に、2年ぶりに、中国インターネット業界に投資ブームが見えてきた。 More

2004年2月23日号
中国における電動自転車の状況(2)   
 
 自転車王国、中国の一部の地域で、「電動自転車」が流行している。ところが、中国において、電動自転車は「自転車」なのか「原付」なのかの議論が、ここ数年続いており、さらには、交通問題や環境問題を理由に、電動自転車の通行を禁止する地域も現れるなど複雑な様相を呈している。
 本稿では、中国の電動自転車の概要、普及の背景を紹介した第一回に引き続き、推進派地域と禁止派地域の様子を詳細にお伝えし、それぞれの背景となる考え方を整理する。その上で、推進派、禁止派、それぞれの主張の妥当性について、主に環境問題の観点から考察した。

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2004年2月9日号
■中国における電動自転車の状況(1)   
 
 自転車王国、中国の一部の地域で、「電動自転車」が流行している。ところが、中国において、電動自転車は「自転車」なのか「原付」なのかの議論が、ここ数年続いており、さらには、交通問題や環境問題を理由に、電動自転車の通行を禁止する地域も現れるなど複雑な様相を呈している。
 本稿では、中国の電動自転車の状況を二回に分けてレポートする。第一回目の今回は、中国の電動自転車の概要、普及の背景を紹介するとともに、地域ごとにばらつく対応など、その概要についてふれる。第二回目の次回は、推進派地域と禁止派地域の様子を詳細にお伝えするとともに、それぞれの背景となる考え方を整理する。その上で、推進派、禁止派、それぞれの主張の妥当性について、主に環境問題の観点から考察してみたい。    More

 

2004年1月13日号
■中国ネットビジネスの四季の歌
―西湖論剣」の視点から―
 美しい西湖のほとりでネットビジネスを語る「西湖論剣」は中国のインターネット経営者によるサミットとして知られている。このサミットは世界最大級のB2Bサイトであるアリババドットコム社のCEOである馬雲(ジャック・マー)氏が提唱し、2000年から年に1回アリババドットコム本社のある中国杭州市で行われており、2003年11月第4回目を迎えた。参加する経営者やビジネストークのテーマなどは毎年の時流によって変遷しつつ、各メディアの注目を集めている。
「西湖論剣」は中国インターネット産業発展のシンボル的イベントと評価され、このイベントから中国インターネット産業・サイバービジネスの一年間の総括と次の展開を読み取ることができると言われている。筆者はこれまでに4回行なわれた「西湖論剣」ビジネストークを振り返り、中国ネットビジネスの四季の歌をお伝えしたい。  More


2003年11月25日号
■杭州の電子情報街がお披露目
【中国】(電子商取引)
  去る10月23日、杭州のある街は非常に賑やかだった。「文三路電子情報街」のオープン式が開かれたのだ。2003年10月18日から11月18日まで行われた第五回西胡博覧会のイベントの一つとして[1]、「中国のIT青写真街(blue print road)を作ろう」というスローガンが白い壁に多く描かれた。電信柱、地面のレンガおよび白い壁に描かれた藍色の文字が街全体の基本色になって、ハイテクのにおいが街中に漂った(藍色は国際的にハイテクを象徴する色として知られる)。 ここでは、杭州にあるこの電子情報街の現状と将来像について紹介してみたい。
   杭州という町は自然環境に恵まれ、蘇州と並んで、「人間の天国」といわれている。「天国シリコンバレー」の建設を目指して、「文三路電子情報街」も多くのプロジェクトの一つになっている。杭州市西湖区の杜久航副区長の話によると、改造後の文三路はパソコンや関連製品の売り場とハイテク企業の創業センターだけではなく、国際一流のR&D・教育・製造を一体化させる産業エリアにして、ハイテク企業の融資、ソフトのパッケージ、新しい情報製品の発表、情報製品の取引及びイノベーションデザインのセンターとして、発展させたいそうだ。
  また、近々の目標はマイクロソフトのような国際IT大手会社の入居を引き付け、産業構造とビジネス雰囲気のバランスが取れる最適地になる電子情報街の一つにさせたいという。More

2003年10月06日号
■杭州のITベンチャーとソフト開発の日中連携(2)
   2003年9月4日に、まだ残暑が厳しい杭州で、岡山県IT企業及び政府訪問団と3Win club(URL: http://www.3winclub.com)との交流会がシャングリラホテルで行われた。二ヶ月前にJETRO上海センターの庄英利岡山経済交流部長から「今年は、IT、ベンチャー、ソフトウェア産業を切り口に杭州等中国華東地区と岡山県企業との経済交流を県庁等に提案していこうと考えております」というメールが届いていたが、こんなに早く実現できるとは思わなかった。
   今回もこのホットニュースを切り口にして、前回に続き、杭州のITベンチャー及びIT業界の日中連携について、もう少しその中身を探ってみたい。
   今後、日中両国のIT産業が共に発展していくためには、中国のIT関連資源、日本の進んだノウハウなど双方の優れた点を組み合わせ、より大きな力を発揮していくことが肝要ではないだろうか。 More

2003年7月14日号
杭州のITベンチャーとソフト開発の日中連携(1)
   SARSが収束に向かいつつある6月中旬、二人の日本人が密かに杭州を訪れた。目的は杭州のあるソフト会社とアリババ社訪問だった。
  今回は、このホットニュースを切り口にして、上海から杭州周辺、いわゆるグレート上海地域のITベンチャーを巡る、ソフト開発の日中連携の動きを2回に分けてまとめてみたい。
   お二人はJETRO上海センターの山中和彦中小企業部長と庄英利岡山経済交流部長であった。訪問したソフト会社は杭州東忠軟件有限会社(Hangzhou Totyu Soft Co.,Ltd.)で、3Win Club(上海地区情報産業ベンチャーグループ)
(URL:http://www.3winclub.com/)の紹介情報がそのきっかけだという。More

2003年5月12日号
■SARSは私たちのライフスタイルをどう変えているか
   ―ITビジネスと電子商取引の視点から
   新型ウイルスによる急性肺炎が、アジアを中心に広まっている。WHO(世界保健機関)が今年3月に入りこの肺炎に似た症状を重症急性呼吸器症候群(SARS)と命名、4月にはこの新型ウイルスを「SARSウイルス」とした。中国語では「非典型性肺炎」と呼ばれているため、「非典」と略称され、最近の流行語になった。上海市の南に位置し、人口600万人を超えるここ杭州市でも4月19日に3名の感染者が発見されて以来、感染者との接触を疑われる2000名以上の関係者並びに500ケ所近い関係者の住居が隔離されるなど、緊迫した空気に包まれている。どのメディアもSARSに関する記事が多く報道され、人々の日常の関心事になっている。
   今回のSARSは観光業をはじめとして、多くの産業に与える打撃が明らかになってきて、海外メディアやシンクタンク、格付け機関などからは中国と香港のGDP予測の下方修正が続々と発表されている。筆者はITビジネスと電子商取引の視点からSARSはいかに私たちのライフスタイルを変えているか、これからはどう変えていくかを中心にまとめてみたい。 More

2003年3月17日号
■ショートメール-----中国IT産業の起爆剤
【中国】(モバイル)
   中国のIT産業は、ITバブル崩壊の影響を受けて低迷している。しかし、2002年下半期からは、米NASDAQで上場した網易(NTES)、搜狐(SOHU)、新浪(SINA)の3大SP(service provider)の株価は上昇している一方だ。2002年末の株価はそれぞれ895%、475%、325%値上がりし、業績も黒字に転換したと相次いで発表した。
  これら三大SPの成長を支えた主な要素は中国の携帯電話ビジネスだという。その現状、背景及び関係について紹介してみたい。
   米国の調査会社ピラミッド社のアジア地域マネージャーは報告書の中に「2007年に、中国のショートメールによる収入は170億米ドルに達する」と判断したように、モバイル端末はまだまだビジネスチャンスが多いと考えられる。
   また、中国の携帯電話ユーザーは現在のところ、外国の携帯電話会社のユーザーとの間では、ショートメールの送受信はできない。ただし、同じ中国移動のユーザー同士は海外にいても、事前に申し込めば、ショートメールのやり取りは可能である。将来はショートメールの国際間の協業も盛んになるだろう。More

お客様のレポート:

中国 熱いブロードバンド

  8月から11月にかけて上海を3回訪れ、発展の勢いの一端に触れてきた。

 上海は今がいわばバブルへの上り坂という、世界でもかなり珍しいところだ。ネット利用者は推定300万人。ブロードバンドはその1割、30万人ほどいる。東京でもせいぜい100万人と目されるから、上海はその3分の1となる。経済全般の格差やマイカー所有率の違いなどを考えると、上海のブロードバンド普及の目覚ましさが際立つ。

 その上海から列車で2時間の杭州は、人口600万人の大都会だ。中国初のADSL(非対称デジタル加入者線)実験が行われたと聞いて出かけたのだが、実は光ファイバーの普及が目覚ましいことに驚いた。

 国営の中国通信が分割されてできたネットコムという会社が、わずか8か月で全市にファイバー網を敷設し、現在の利用者は8万人。ADSLが10万から12万ということだから互角に近い。料金も、光が毎月80元(1200円)に対してADSLが78元ときっ抗している。

 急速な展開の秘密は、ケーブルテレビと提携したこと。といっても、銅線の同軸ケーブルは使わず、ケーブル会社の「管路」に新たに光ファイバーを敷設したという。このモデルは世界的にも珍しい。

 杭州には、世界最大のB2B(企業間電子商取引)サイト、アリババの本社もある。その最高幹部2人に会ったが、実にパワフルで、その柔軟な思考に感心させられた。ごく最近、日本の中小企業向けのサービスを開始したが反応は上々という。

 さらに、浙江大学での電子商取引の授業に飛び入りし、「ブロードバンドで本当に社会が変わるのか」というテーマで発表し、学生と討論をしたが、「間違いなく変わる」と答える学生たちの熱意、目の輝きは日本では失われてしまったものだった。

 杭州訪問をアレンジしてくれたのは、早稲田大学の大学院で学び、いまは浙江大学の先生とIT企業の経営者を兼ねている、夏瑛(シャエイ)さんという女性。日本で学んだ知恵を中国で生かそうとする姿も印象的だった。

 上海ではアフガニスタンでのインターネットの立ち上げに協力してほしいと頼まれ、通信省の人と、国連開発計画の友人と「作戦」を議論した。日本の資金に期待が集まっている。なんとか早く実現したいものだ。

アジアネットワーク研究所代表 会津 泉
(アジアネットワーク研究所代表の会津泉氏より、2002年12月号読売新聞「風from ASIA」コラムに発表されたものより。

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